満月の夜に【鬼滅の刃 煉獄杏寿郎 宇髄天元 R18】
第13章 幼い恋心《宇髄天元》
宇髄のことがたまらなく好きだった。
切長の赤い目、銀色の髪。
失った父上様に、とても似ていた。
父上様も、あんな美しい目をしていたな、と幼いわたしは宇髄を見かけるたびに姿を重ねた。
宇髄天元は、一見口が悪く、態度も大きいこともあるが、怪我の治療は俺は最後でいいからこいつら先に見てやれというような、部下思いの、優しくて強い、そんな人。
3人の妻がいることを聞いて、
このどうしようもない胸の痛さは一体なぜなんだろう、と
正解を知るのにそう時間はかからなかった。
宇髄のことが、たまらなく好きになってしまった。
この気持ちはもうどうすることもできず、
胸に仕舞い込んではいたが、どうしても宇髄に会うたびに報われない気持ちを突きつけられるようで辛かった。
想いの丈を、恋文のように紙に書いて、捨ててしまえば、少しは気持ちも楽になるだろう…と。
13の波奈は、筆を取ったのだ。
渡すことはもちろん出来ず、かといって、燃やしてしまおうと思ってもやはりそうできるものでもなく、
そっと箱に仕舞い込んだのだ。