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満月の夜に【鬼滅の刃 煉獄杏寿郎 宇髄天元 R18】

第1章 おかえりなさい※《煉獄杏寿郎》



カラカラ、と戸が開く音がした。
杏寿郎さんかもしれない!と胸がドキン、として、
布団からガバッと起き上がり、玄関へと急ぐ。
「杏寿郎さん…!」
玄関には黄金の髪色、毛先は炎が燃えるような赤い髪の、大きな男ーーー愛しい人が立っていた。
「ん!波奈!ただ今戻った!起きていたのか」
波奈は杏寿郎の笑顔を見て、安堵と、嬉しさでたまらなく、
自然と杏寿郎に抱きついてしまう。

「はい!はい…!ご無事で何よりです…!」

「う、うむ!えらく時間がかかってしまった。
心配をかけたな!」

抱きつかれたのがびっくりしたのか少しよろけながら、しかし、しっかりと波奈を抱き止めながら応じた。

しばしの抱擁。空いた時間を埋めるように
菜子は杏寿郎の身体を優しくさすった。
すると杏寿郎は

「…波奈。もう夜も遅い!わたしは湯浴みをしてくるから、もう床へついていなさい」

「湯浴みならわたしもご一緒に。背中を流させてください」

「ん?!、い、いや…大丈夫だ!心配ない!」

と杏寿郎の手はグっと波奈の肩を押さえ、身体を離した。

「杏寿郎さん…?」

なんだか杏寿郎さんの様子がおかしい。
顔が少し赤く、息もハアハアと荒いような気がする。

「お熱ですか?お身体は無事ですか?」

と杏寿郎の顔に手を伸ばそうとすると、
杏寿郎はパッと顔を横に向け

「うむ!大事ない!!もう寝室へ行って休んでくれ」

と言いながら、湯浴みの方へと歩みを進めてしまった。

ぽつんと玄関に残された波奈。
波奈は心配で堪らなかった。
もしかしてお身体に何か負傷があるのではと。
鬼狩りから帰ってくるときや普段の仕事から帰ってくるときは、必ずと言っていいほどーーー誰もいないのを確認してからではあるがーーー痛いほど抱きしめられ、口吸いをこれでもかというほどされるのだ。
波奈はと言うと誰かに見られたら、というのと恥ずかしさで、いつもはその口吸いを拒んだりしてしまうのだが、
どうやら今日の杏寿郎はあっさりと湯浴みへと行ってしまった。それには拍子抜けではあるが、

四日もかかった鬼狩り。
きっとお疲れに違いない、と。

それならすぐに床に就けるようにと
寝室に布団を敷く。

それから自分の床へと入るが、杏寿郎が眠るまでは起きておこうと心に決めていた。
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