満月の夜に【鬼滅の刃 煉獄杏寿郎 宇髄天元 R18】
第9章 雨音と君の音《宇髄天元》
そうだった。この人は人の音が良く聞こえる人だった。
なにもかも見透かされる、
波奈はいつも音を聞かれては揶揄われる。
そのたびに波奈はいつも赤くなってしまうのだった。
波奈はまだ宇髄天元には慣れない。
もう何年も、密かに想い続けていた。
彼にはもう奥様が3人もいる。
思い続けたとて叶う恋でもないことぐらいわかっていた。
だから決して想いは表に出さないように、誰にも気づかれないように、そっと胸にしまっていた。
壁に追いやられて、抱きしめられたとき、
胸にしまいこんでいた気持ちが溢れ出てしまった。
俺のことどー思ってんの?と、あのまっすぐな赤い目で見つめられた。
どう思っているかなんて、わたしがいくら隠していたとは言え、音柱様ならわかるはずではと考えがよぎる。が、
「この音は、お前から聞こえるのか俺から聞こえるのかわかんねえ」
と言われた。
わたしが鳴る音と、音柱様の鳴る音が同じ?
と理解できないことを言われた。