満月の夜に【鬼滅の刃 煉獄杏寿郎 宇髄天元 R18】
第8章 小さな箱の中で《宇髄天元》
「…音柱様、呼吸が荒いようですが大丈夫ですか?
重いですか?わたし…」
「いや、大丈夫だ。
そんなやわじゃねー」
じっと見下ろされて、心配そうに見つめる波奈。
その純粋な目で見つめられると
邪なことを考えてしまったことを苛まれる。
「…そうですか?」
「……」
「……」
沈黙が続く。
ただ、俺の耳には、波奈のドッドッと心臓が規則正しく鼓動する音が鳴り響いている。
「…お前好きなやついんの?」
「…へ?」
その質問に、目を丸くしてしまう波奈。
「…いや、なんでもない」
何か会話しなくては、と
そんな質問を思わずしてしまった自分は、一体どうしたのだろう。
心掻き乱されるような、宇髄は激しく動揺する。
「…お慕いしてる人はいますが、」
「へえ」
聞くんじゃなかったと直ちに思う。
…
まったく、どうしたんだ俺は。
グググ…といたたまれない気持ちがした。