満月の夜に【鬼滅の刃 煉獄杏寿郎 宇髄天元 R18】
第8章 小さな箱の中で《宇髄天元》
「ーーーってーな」
何かにぶつかったような衝撃。バランスを崩して倒れ、目を開けると、誰かに押し倒される重みを感じる。
「ーーー誰だ?!」
「ひゃっ…!!」
「?!」
起きあがろうとすると天井がすぐ頭上にあり、ゴン!とぶつけてしまった。
俺の太ももに跨るような形で、慌てふためく女が乗っていた。
「お前波奈か?」
「お、おと、おとばしらさまっ…!」
少女が震える声で名を呼んだ。
小さな箱に閉じ込められたように、
四方八方白い壁に覆われてしまったようだと、
状況を瞬時に理解した。
おそらく首を切った鬼の最後の血鬼術だろう。
このような箱に閉じ込められたという報告が何件も発生している。
「落ち着け。波奈」
とりあえず、この少女のパニックを紐解かなくてはと小さな声で冷静に声をかけてやると、波奈は震えながらもこくこくと頷いた。
なぜこの少女がこんなところへ俺と閉じ込められたのかは謎だが、まったく不運だなと同情した。