満月の夜に【鬼滅の刃 煉獄杏寿郎 宇髄天元 R18】
第1章 おかえりなさい※《煉獄杏寿郎》
起こさぬよう静かに襖をあけると、目の前に寝巻き姿の杏寿郎が立っていた。
「!杏寿郎さん!寝てなくて大丈夫ですか?」
鬼狩りから帰ってきての2回戦、きっとお疲れに違いないと杏寿郎の身体を心配する。
「うむ!心配ない!がどこに行ったのかと思ってな!」
「冷たい手ぬぐいと冷たい水を持ってきました」
お盆を床に置き、背伸びをうんとして、冷たい手ぬぐいで杏寿郎のおでこをふわっとぬぐった。少し汗ばんでいる。
「あぁ。気持ちがいいな」
波奈が手ぬぐいで拭きやすいように、少し前屈みになる杏寿郎。「ん」と目を閉じてされるがままになっていた。
少しどきどきしながら首筋に手ぬぐいを滑らしていく。
「お水もどうぞ」
「喉がからからだ!」
「ふふふ」
よかった。呼吸も落ち着いているし、汗は止まっているようだ。波奈は両手で湯呑みを渡した。杏寿郎はそれを受け取り、ごくごくと美味しそうに水を飲んだ。
「杏寿郎さんはゼツリンなんですか?」
「ぶっ!!!」
杏寿郎は波奈の言葉に飲んでいた水が喉につかえ、ゴホゴホと咳をした。
「だ、大丈夫ですか?!!」
ごほっと吹き出した水で濡れた口元と喉元を手ぬぐいで拭った。
「き、君はいきなり何を言い出すんだ」
「え?!あ、いえ、あの、、」
おかしかったですか?と杏寿郎のほうを見上げると少し頬が赤くなった杏寿郎が、頭の後頭部をカリっとかいた。照れるときの杏寿郎の仕草だ。
「姉が言ってたのを思い出して…柱はみなゼツリンだと」
「うむ!柱はみな絶倫だと言うことは俺は知らないな!」
「ひゃい…」
知るわけないですよね、てへへ…とヘラっと笑うと、杏寿郎はニコっと微笑んだ。
「まあ俺はいつも一回じゃ物足りないが、絶倫かと聞かれたらわからないのが実際だ!しかし俺は波奈となら何回でもしたい!」
「えぇっ…!それは…その」
いつも一回で終わるのが普通かと思っていた波奈にとっては、杏寿郎のこの言葉には少々驚いた。いつもヘトヘトになる波奈を気遣ってのことだったのだろうか。何回でもしたいなんて唐突に言われたものだから顔を染めて返答に困っていると
「なんてな!今日はもう夜も遅い!布団に入るとしよう!」
ニコッと笑いながら杏寿郎が波奈の手をひいた。