第1章 出会いの日
ふらふらの体でようやく部屋に戻ってきた。
そのままベッドに倒れ込む。
さっきの一件で一気に疲れてしまった。
しばらくあそこには絶対に行かない。
一息吐いて、窓の外を見る。
この体になってからはサボさんと話す以外は基本的に何もできなくてただふよふよと漂うことぐらいしかできないのだと、実感してしまった。
普段はあんなに賑やかで、色づいている風景が今ではちょっぴり褪せている。
お仕事だから仕方ないのにね。
わかりやすい自分にちょっとした苛立ちがありつつも、早く帰ってくるように願う。
じっと窓を見ていたずなのに、いつの間にか寝ていたみたいで。
顔を上げると、太陽の光が差し込んでいた。今日も天気がいいみたい。
さて、今日は何しようか。
スルッと、ドアを抜けて何か面白いことはないか探しに行こうとした時外が騒がしいことに気づいた。
「誰にも見えないしいいよね」
野次馬精神で外に出ると、人がたくさん集まっていた。
その人たちの頭の上をふわふわ飛んで、目的の方に目を向けると太陽の光に照らされた綺麗な金髪が見えた。
サボさんだ。
そんなに長い時間離れていたわけれじゃないのに、その顔を見ると安心してしまった。
皆さんに笑顔で囲まれているから邪魔はできないかな。
帰ってきてくれただけで嬉しいし。
「お帰りなさい」
それだけ言って部屋に戻ろうとした時、サボさんの視線がこちらを向いた。
一瞬驚いた顔をしたけれど、また笑ってくれた。そのまま、周りの人と話し込んでいる。
昨日まで褪せていた風景が一瞬でまた色づいた。
ほんの数分前までは何して過ごそうかと思っていたのに、今日は部屋にいることが決定だ。
部屋に入ってきた瞬間、もう一度おかえりなさいと言いたいから。
もしかしたら夜まで他の人と盛り上がっているかもしれないけれど、それまで待っていよう。
そう思っていたけど案外その時間は早くやってきた。
まだ日が傾き始めた頃、誰かが廊下を歩いてくる音が聞こえた。
部屋の前で止まるのと同時に、ギィッとドアが音を立てて開いた。
入ってきたのはやっぱり綺麗な金髪をした彼で。
「サボさん、お帰りなさい」
「ただいま、。元気だったか?」
「はい、幽霊は体調崩したりしないので大丈夫ですよ」
「いや、そうじゃなくて。寂しくなかったか?」
「…もちろん!」