第1章 出会いの日
なんてちょっと強がってみたけど、サボさんにはお見通し。
仕方ないなって顔をしてベットに座り、ぽんぽんとその隣を叩いている。
それに誘われるがまま隣に腰を下ろす。
何を言われるのかと警戒していると、グイッと何かに引っ張られそのままベットに倒れ込んでしまった。
「えっ!」
「お、やっぱり」
自分に何が起こったのか全くわからず、頭の中が混乱しているとそのまま向かいでサボさんが倒れてきた。
訳もわからないまま、何かが触れているであろう箇所を見ると、途中から赤黒く色が変わっているサボさんの腕が。
しかも、私に触っている。
「え、え?なんで?どうして?」
サボさんが私に触れていることの驚きと、サボさんの腕が変色してしまっていること。
何がどうなっているのかわからず、頭の中はパニック状態になっていた。
「くっ、あははっ」
そんな私の姿が面白かったのか。お構いなしに笑われた…。
「わ、笑ってないで。説明してください!」
そのまま体を叩こうとしたら、やっぱり私からは触れれなかった。
「覇気を使えば、触れるかと思ったんだ」
「ハキ?」
って何?
「まぁ、わかんねぇよな。とりあえず、俺が覇気を使ったらに触れるってことだ」
全く説明する気がないことがよくわかった。
そっと、ハキを使っている腕に私の手を持っていくと、そこの部分にだけ確かに私も触れた。
今まではしっかりと感じてこれなかった、暖かさがじんわりと伝わってくる。
それが嬉しかった。
この姿になってから、本当は眠ることは必要無くなったし、今でも夜の時間はすることがないから寝ているだけ。
なんでなんだろ。
こんなに安心して微睡んでいけるなんて初めてのことだった。
暖かいな。
人の体温を感じるだけで、こんなにも安心できるなんてすっかり忘れてしまっていた。
「はぁ、全く。お前もちょっとは意識しろよな」
そんなこと言っても、サボさんが悪いんですよ。
幽霊相手にこんなことして、この先どうなるのかもわからないのに、これ以上優しくしないでほしい。
でも、本当は優しくされて嬉しい、もっと私と一緒にいてほしい。
なんて矛盾だらけの心。
心が苦しいの。