第1章 出会いの日
しばらくは私が思っていたよりもゆったりとした時間が流れていた。
初日は緊張していたにもかかわらず、今ではすっかりサボさんの部屋で過ごすのにも慣れてしまっていた。
今ではサボさんのベットでゴロンとして日向ぼっこをするまでに。
そんな私の傍には書類と向き合っているサボさん、ではなく。
机に足を乗せて、背もたれにもたれかかったまま本を読んでいるサボさん。
ちょっぴりお行儀が悪いことは気にしない。
ここしばらくは革命軍自体が落ち着いているらしく、時折暇そうにしていたり他の方と組み手をしていたりと。
その間サボさんのひっつき虫になっていた。
だって、サボさんしか私のことは見えていないし。私を当たり前にそばに置いてくれるサボさんが悪いのだ。
…決して寂しいからではない。
なんて思えていたのは束の間だった。
突然、机の上いにたデンデン虫が鳴り出した。
相手はコアラさんだった。
普段の優しい声とは違って、ちょっと焦っているみたい。
内容はよくわからなかったけれど、すぐに出発って聞こえたから、どこかに行くんだろうか。
デンデン虫を切ると、サボさんは立ち上がって準備を始めた。
私はどうしたらいいかわらなくて、じっとサボさんを見つめる。
その視線に気がついたのか、ベットのそばにしゃがんで私と視線を合わせてくれる。
「」
普段の優しい声じゃなくえ、緊張感が混じっているちょっと低めの声にドキッとしてしまう。
だって、普段から笑顔か書類と向き合っている顔のサボさんしか見たことなかったから。
真剣な表情は見たことなかったから。
「以前から監視していた場所に動きがあったみたいだ。流石にを連れていくことはできないから、しばらく待っててくれ」
「は、はい」
思わずその目に吸い込まれてしまいそうで、私は視線を外すことができなかった。
ニコッと一瞬笑ったサボさんは、私の頭をポンとするような仕草をした後部屋から出て行ってしまった。
一人取り残された私は、なんだか落ち着かなかった。
ついさっきまであった音が消えて、部屋はシンとしている。
邪魔になるってわかっているし、迷惑もかけれないから連れて行ってほしい、寂しいなんて言っちゃいけない。
「早く帰ってきてくださいね」
ポツリと溢れた声は、誰にも届くことはなく消えていった。