第1章 出会いの日
流石に一回休憩を挟んだ方がいいんじゃないかな。
そうしないと倒れちゃいそう。
でも急ぎの仕事なのかな。
現状を知ることも私はできないので、こういう時はどうするのが1番なのかがわからない。
「すぅ、〜♪」
結局どうすることもできない私は、ちょっとでも癒しになればと歌を口ずさむ。
わからないけれども、自然と出てきた歌。
優しいメロディで、心を落ちつか冴えてくれるそんな歌。
この歌が少しでも癒しになってくれ得たらいいんだけれど。
流石にサボさんの方を向いて歌うのは恥ずかしいし、嫌なので扉の近くで壁にもたれて座り、目を閉じたまま歌う。
歌い終わってからそっとサボさんの方を見ると、サボさんは手を止めてこちらをじっと見つめていた。
流石にそれは予想外で、ビクッとっ体が跳ねてしまった。
「は歌が得意なんだな」
書類や持っていたペンをお置いて、片手を顔についた状態でニヤッとこちらを見てくる。
その姿も様になっているので、なんともかっこいい。
「そうなんだと思います。自然と口から出てきたんで。それに、サボさんのお顔がだんだんと険しくなっていたもので…」
そこまでいうと私が言いたいことを察してくれたらしい。
顔を手で隠して「あー」と唸った。
「わりぃ、怖かったか。集中するとどうも顔が険しくなっちまうんだよな」
「いえ、お仕事なので仕方ないと思います。ただ、朝食を食べてから一回も休憩する様子がなかったものですから、少しでも癒しを提供できればと思って」
あまりにもじっと見られているのに馴れなくて、話す時にサボさんから視線を外し、足元を見ていた。
それが運の尽き、次に視線をあげた時にはサボさんの顔は目の前にあった。
「ぴぎゃぁ!!」
「ははっ、おもしれぇ反応をするな」
「…サボさんっていたずら好きですね」
今日だけで何回ビックリさせられることがあったか。
毎回心臓が何個あっても足りない。
むくれる私にサボさんはまた笑う。
「悪かったよ。の反応が面白くて、ついからかっちまうんだ」
むむむ、そこまで言われると複雑な気分。
サボさんが笑ってくれるならと思う反面、この人私をペットか何かと思っているんじゃないだろうか。