第1章 散る光の下の熱※/ジン
「……ちょっと調べてな。人混みよりいいだろ」
バツが悪そうに言うジンの顔を花火の光が照らす。
『調べてくれたの?』
「悪ぃか。ただの気まぐれだ」
『ううん、嬉しい。ありがと』
ジンの左手に自分の右手を絡めて空を見上げた。本当に綺麗だな……。
花火の音が一度止んで、なんとなく視線を下ろす。すると偶然、カップルの1組がキスを交わしているのを見てしまった。それもなかなか熱いやつ。
身体の奥が熱くなった気がした。だめだめ、今は花火……と思いつつもまた視線を向けてしまう。
家を出る時、ジンがあんなこと言ったせいだ……考え始めたら止まらなくて何もしてないのに顔が熱くなる。
「……どうした」
『えっ……』
「手」
『あ、いや、ごめん……』
無意識に結構な力で握りしめていたらしい。気まずくて手を離した。
しかし、手首を掴まれて、ハッとして顔を上げれば唇を塞がれる。その瞬間、今日1番大きい花火が上がった。
慌てて突き放そうとしても、利き手じゃない左手ではろくに力が入らない。しかも、触れるだけだったキスはどんどん深くなっていく。
『ん、ふ……うっ……』
身体の奥が熱い。ほかの人に見られてるんじゃないかと思うと、いつも以上に恥ずかしくて、でも気持ちいい。
「っ……おい」
カクンッと腰が抜けそうになった。ギリギリ耐えたし、ジンも咄嗟に支えてくれたから倒れることはなかったけど、息がすごく荒い。
「……どうする」
耳元でジンが囁いて背筋がゾクゾクする。
『な、何が……?』
「花火と、どっちがいい」
そんなの……もうそれしか考えられないのに……。
『ジン……がいい……』
そう言えば何も言わずに手を引かれて、どんどんとまた林の中へ入っていく。てっきり帰るのかと思ったけど、神社との中間くらいの位置でジンの足が止まる。花火の音が遠くで聞こえる。
『ちょ、ここで……?』
「帰るまで我慢できんのか」
『大丈夫……我慢する……』
「そうか……でも、俺が限界だ」
後ろにあった木に押し付けられて、ジンの顔が首元に寄せられる。
『だめ、誰か来ちゃう……』
「来ねえよ……ああ、でも……声は抑えろよ」
首筋をゆっくり舐められる。いつもされてることなのに、外であることとか、誰か来るんじゃないかって考えるだけでドキドキが止まらない。