第1章 散る光の下の熱※/ジン
ジンの車に荷物を乗せて助手席に乗り込んだ。
『ねえ、せっかく浴衣貰ったし……再来週の花火大会行かない?』
「……」
『でも、ジン、人混み嫌だよね……』
「……その日だけだぞ」
『いいの?』
「1回だけだからな」
『ほんと?!ありがと!!』
できることならギュッて抱きしめたいけど、運転中だから我慢。
ジンって本当に面倒くさがり屋だし基本的に冷たいけど、こういう時々の優しさがもう堪らない。
「……で、浴衣の着方知ってんのか?」
『あ……』
「どうすんだよ」
『えーっと……あ、お母さんが知ってるかも……』
「わざわざ呼ぶつもりか?」
『お、教えてもらってくる!2週間あるし!』
仕事が休みの日いつだっけ……お母さんに連絡しとかないと……。
話している間に私の住んでるアパートに着いた。荷物を下ろすためにジンの車はお客様用駐車場へ。
『これで全部。ありがと』
「……ああ。じゃあな」
そう言って去ろうとするジンの手を思わず握った。
『明日、そんな早くないんだけど……』
「……」
『あ、ジンはそうじゃないよね……ごめん……』
離そうとした手はジンに掴まれて、壁に押し付けられて唇が重ねられる。すぐに舌が入り込んできて、歯列をなぞられて舌を絡められる。
「……誘ったんだから最後まで付き合えよ」
『ん……』
まだ夕日の光が差し込んでくる部屋。ゆっくりベッドに押し倒されて……飛んだ意識が戻ってきたのはすっかり外が暗くなってからだった。
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花火大会当日。ジンの部屋で着付けをする。
『うん!似合う似合う!』
「……よかったな」
『ほら、ジンも鏡見て!』
お母さんが徹底的に教え込んでくれたので、ジンの着付けはスムーズに終わった。ジンの手を長い髪はひとつにまとめて結ぶ。うん、カッコイイ……。
『じゃあ私も着てくる。あっちの部屋借りるね』
「ここで着替えりゃいいだろ」
『えっち』
「うるせえ……好きにしろ」
自分も着付け終えて髪も上でまとめあげる。借りた髪飾りもつけて……これでよし。
『お待たせ』
「遅せ……え」
『どう?似合う?』
「……そうだな」
『ちゃんと見てる?ねえ……』
ジンの顔を覗き込もうとすると引き寄せられて、首元に顔が埋められる。そしてチュッ……と吸いつかれた。