第4章 Liar
パーティーなんて絶対におかしいって、もっと疑えば良かったって後悔した
そもそも私に自由な選択権なんてないけど、到着した場所は埠頭の倉庫街
その一角にある巨大倉庫だった。
「テメェら遅ぇんだよ‼︎」
ブチギレた三途さんと無言でたい焼きを頬張るマイキー
他には知らない人達…如何にも堅気じゃないって感じの…
私を怪訝な表情で見やる人、驚いた顔で凝視する人…
今すぐにでもこの場所から離れたい…視線を落とすと、竜胆さんの手が優しく頭に降ってきてた
「はいはい、言われたとーり主役連れてきたんだから薬中は黙れよな。なーココ?」
「…本当に連れてきたんだな…大丈夫なのか?」
ココ…さんは蘭さんに眉を寄せて口を開いた。
「ちゃんこー見えてもオッサン撲殺してっからさ、余裕でしょ」
「っ…それは…」
あの時はまさか自分が殺人を犯すなんて思ってなかった…
私から言わせたら事故だ…正当防衛だって自分を言い聞かせたいけどやった事に変わりはない…
蘭さんは慣れた手付きで私の腰に手を添えて倉庫内の奥へと進んでいく
マイキーは…
マイキーは私と蘭さんの様子を見てどう思ってるんだろ…
少しだけ振り向いて、彼を見やるも私と視線を合わす事はなくて…胸を苦しく締め付けた
「えっ…なっ……」
広い倉庫内に足を進めるとコンテナを背に蹲る人影が見えていた
三途さんがその人影の頭を掴んで私の方へと顔を向かせた
見覚えのあるその顔…
この人は…
「社長…」
「そ、ちゃんが所属してた事務所の社長サン」
無残にも顔は殴られた跡で腫れ上がり、塞がれた口では何も言えず、助けを乞うように訴る視線…
「おい、クソ女。テメェが梵天に相応しい歯車かどーか確かめる為に用意してやったんだからよ。感謝しろや」
「パーティーって嘘吐いてごめんね、ほんとはちゃんの歓迎会」
-できるよね?-優しく、耳触りの良い声で告げた蘭さんは私の手に拳銃を握らせた
震えと嫌な汗が噴き出る…あの時とは違う、あの時は自分を守る為に無我夢中だった
今は……
今だって…
ここでやらなきゃ、私が殺される…
しっかり狙って…と、ゆっくりとした動作で拳銃を構える私に蘭さんは囁いた
もう後戻りはできない…
「…っ!」
乾いた発泡音と薬莢の匂い…耳と鼻を掠めていく…