第4章 Liar
「ハハッ…ちゃん最高でしょ?」
ちゅ…とリップ音が響く、こめかみにキスをされると耳元で"よくできました"と囁く蘭さんを他所に私の震えは止まる事なく
下ろした手元に視線を泳がせていた
私が放った弾丸は左胸に命中していた…つまり心臓だ
蘭さんは私の頭を胸に押し付けて、よしよしと髪を撫でた
あの時と同じ…蘭さんの甘やかなムスクの香りが鼻を掠める…
「…」
弾かれるように蘭さんの胸元から距離を取った
マイキーが抑揚の無い声で私の名前を呼ぶ
今の彼が何を考えているかなんてもうわからない
只々、不安で胸を締め付けて私は視線を向けていた。
「不快なんだよ、クソアマ。首領にガン付けてじゃねーよ」
マイキーの隣に立つ三途さんが口を開いた
本当に嫌な人…私からしてもあなたは不快な存在です。なんて口が裂けても言えない…
「ココと先に戻れ」
マイキーは私にそれだけを伝えると他の人達に死体の処理の指示を出していた
えー俺と帰るんじゃないの?と蘭さんは言うけど竜胆さんが宥めて私はココさんと倉庫を後にした。
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「アンタ、蘭の女なの?」
静かな車内の中、ココさんが不意に口を開いた。
弟が可哀想だな、と付け加えて
こんな質問をされても私の答は一つしかないし可哀想って…どんな意味なの…
「…私はそんなつもりじゃ…っ」
そんなつもりじゃないのに、さっきの行動を見たら誰が見ても勘違いするに違いない
今の私の言葉には説得力なんて皆無だった
別にいいけど、と興味なさそうにココさんは言った
「今月分の給料、先払いで振り込んだから」
「…え?」
「蘭が借りた通帳と財布そこに入ってる。新しいスマホもな」
指された先のグローブボックスの中身を確認した
私の通帳…
え…
なんで…
増えてる…
ココさんが言う今月分の給料が振り込まれ、預金も財布の中身も使われた形跡はなかった
蘭さんは私のお金全部使い果たしたって言ってたのに…
なんて笑えない冗談を言う人なの…
私は安堵のため息を付いた
「少なかったか?給料」
「いや!違います…私の部屋に用意されたものが全部…高価なものばかりで、支払いは、その…」
「マイキーがアンタの為に用意させたんだろ?」
「え…」