第4章 Liar
「……ん」
「起きた〜?」
華奢なヒールのLouboutinのパンプス、深くスリットが入ったCHANELのドレスを身に纏った私は竜胆さんが運転する車の後部座席に座っていた。
隣には蘭さん…助手席に乗れば良いのに、やたらと身体を密着させてくるしスリットから覗く太腿を撫で回したり…肩に顎を乗せて甘えてきたり…
そんな事をされても昨日の怠さと車の揺れが気持ちよくて、気付けば蘭さんの肩を借りて眠りについていた。
昨夜は酷い抱かれ方をした所為で最悪の寝起きだった。
身体が全力で悲鳴を上げて少しだけ頭痛もする…
シャワーを浴びてリビングへ行くとそこには
ソファーにゆったりと座ったタバコを吹かす蘭さんと、ストレッチをする竜胆さんか待ち構えていた
昨夜の事で気まずいし、なんなら蘭さんには怒りしかない…いや、羞恥心の方が今は勝ってる…
て言うか、なんでまだ私の部屋にいるの…
呆然と立ち尽くす私に気づいた蘭さんは、煙をふっと吐くと私を見るなりニヤニヤと嫌な笑みを向けて口を開いた
「おはよー、よく眠れた?今日の夜、三途主催のパーティーがあるってさ」
「は?なにそれ兄ちゃん」
「…あの…できれば参加したくな「ちゃんは俺がしっかりエスコートするから安心して」
もう嫌な予感しかしない…そもそも三途さんは私を快く思ってないし私も同じなのに…
「てか腹減ったんだけど、なんか作れない?俺このあと仕事だし」
「蘭チャンも仕事前にちゃんの手料理食べたいな〜♡」
急に甘えた声を出す蘭さんが恐ろしい…と思いながらも同じく空腹の私は冷蔵庫の中を確認した
「え?…いつの間に…」
そういえば冷蔵庫の中身なんて見てなかったけどそれなりに食材も調味料も揃ってる…
これはまた…料理を作れと言わんばかりに…
じっ、と私を見つめる二人の視線が突き刺さる…
簡単な料理を作って二人の胃を満たすと潔く仕事へ行ってくれて安心した
パーティーまでの時間、少しだけ一人でゆっくりできる…
蘭さんが、衣装はこれで、靴はこれで、俺に似合う女って感じの〜
とか注文を付けてきて少しだけめんどくさい…なのに悔しいけどセンスは良くて私好みすぎる…
去り際に玄関で触れるだけのキスをされると、竜胆さんは僅かに眉間に皺を寄せて蘭さんを睨んでいた