第3章 What's Happening⁉︎
「…いつから、そんな」
「ン??」
「なんでも無いです…」
終わりーと言いながらドライヤーのスイッチを切る蘭さん
背後から顎に手を添えて斜め上を向かされると、露になった首筋を鏡越しで確認していた
片手は私の腰をホールドしている…
「…ここ痛い?俺こんなに激しくしてないんだけど、かわいそ」
「んっ…」
ヒリヒリする…
マイキーに噛まれて滲んだ傷口を舐めると蘭さんはおかしそうに笑っていた
「…あの、私のサイフとスマホとスケジュール帳が無くなってたんですけど…」
このまま雰囲気に流されるものかと、ずっと気になっていた事を聞いてみる…
「あー、スマホは処分しといた。新しいの用意したし」
「スケジュール帳はマネージャーの俺が持ってた方が良いでしょ」
なんて勝手な事をしてくれたんだ…
「ンで、財布なんだけどさー5万しか入ってなかったから足りねーじゃん?
預金全部下ろしてオマエに似合いそうなもん見繕ってやったって訳よ。
俺センスあるだろー?」
は?
「…どーゆー意味ですか?」
「クローゼットん中見ただろ?金足んなくなって不足金ポケットマネーで出してやったんだから、ちゃんと借金返せよー」
まぁ、身体で返してくれても良いけどなーなんて呑気に鏡越しに話していた蘭さんに、私は頭が真っ白になった
一千万以上入っていたはずの預金を昨日出会ったばかりの男に使われてしまった、
そして元はと言えばこの男の所為で私はマイキーに……
許せない…
「…最悪」
私は腰に絡み付いた腕を払って洗面所から出た
「俺がこんだけしてやったんだから感謝しろよ」
振り向きざまに蘭さんを睨みつけた
ヘラヘラと、余裕そうな表情をされると余計に腹が立ってくる
「着いて来ないで!」
そうは言っても聞く耳は持たず、私の腕を掴んだ
「とりあえずこれ飲んどけよ」
「なっ…!?」
バスローブから露出する胸の谷間に錠剤が2つ押し込まれた。
「アフターピル。ガキできて困るのはオマエだろ?」
じゃあな
そう言って蘭さんは出て行った
ガチャン と、扉が閉まる音を確認するとチェーンロックを…
チェーンが無い…
不用心な部屋を与えられ無一文になり借金を背負って反社組織に入ってしまった…
絶望感しか無い。
私は頭を抱えて貰った錠剤を飲むと、真っ直ぐにベッドへダイブした。
