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【東リベR18】〜actress 梵天〜

第2章 Welcome to a new world


最後の言葉に唇が震えた
迫り来る終わりに、私は涙で濡れる瞳を閉じた…

ゴッ…


え…
鈍い音に驚き目を見開くと構えられていた銃は床に落ちていた。
マイキーは光の無いその目で真っ直ぐに私を見据えている。

「…マイキー?」

「オマエは組織の一員じゃない…」
  
背を向けてソファーの肘掛けに腰を下ろした姿に私は次の言葉を不安な気持ちで待った。

「裏切りの代償は組織の一員になって払って貰う。
組織の中では裏切った奴には死んでもらうのがルールだ」

「…わ、私は…」

どうしたら良いの?言葉が出てこない…
今は殺されなくても、もし裏切るような真似をしなくても、この組織の中に入ればいつ死んでもおかしくない
どんな惨い殺され方をするのか。私が殺したプロデューサーの死体が脳裏に浮かんだ。
マイキーは私に似合う人生のシナリオをいつも用意している。

あの頃から変わらないね…


「死ぬのなら、マイキーに殺されたい」

それが私の答えだった。

振り向いたマイキーは私の髪を撫でた
それが擽ったくて、気持ちが良い

「望みどおり、オマエの最後はオレの手で楽に逝かせてやる」

マイキーは少しだけ口角を上げた。

「ありがとう…マイキー」

出会った日から、あなたが用意した私だけのストーリーは沢山の夢を見させてくれた。
気づいていた。私には才能が無い。
当時から私より綺麗で才能がある女優は星の数程いたのに。
選ばれるのはいつも私だった。
私の邪魔になる相手はいつもスキャンダルに巻き込まれたり、撮影直前に何らかの事故に遭っていた。
昔、私が気の迷いで一夜を過ごした既婚俳優だって気付いたら消えていて、
それなのに私は平然とこの世界で生きて、輝き続けた。
私が上り詰めた頂点はマイキーの手で作られていたんだ…



私はマイキーが用意した世界(ステージ)の主演女優だ、この先もずっと。





〜Welcome to a new world〜 完
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