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【東リベR18】〜actress 梵天〜

第2章 Welcome to a new world


私はこの人に見覚えがある、背丈は変わらず、表情も髪型もあの頃とは別人になってしまったが間違いないと、
確信していた。

「三途、丁重に持て成すよう言ったはずだ。席を外せ」

「…うっす」

やっと背後から降ろされた拳銃と、会いたくても会えなかった彼を見て私は安堵感に膝を着いた。



「マイキー……」


「来い、」

短く告げる彼は、私の腕を掴み立ち上がらせると室内へと招き入れた。

清掃が行き届いた広い部屋のソファーへ腰を沈める彼
ガラステーブルには吸い殻が大量に乗った灰皿、拳銃、散らばった書類
それと食べかけのたい焼きがポツンと紙袋から顔を出していた
好きな食べ物はあの頃と変わらないんだな…
昔の思い出が蘇り目頭が熱くなる

立ち尽くすだけの私に彼は無言でソファーをポンポンと叩いた

彼の動作に従い隣に腰掛けると、
優しく抱きしめられた。


懐かしい香りはしない、あの頃は香水なんて付けてなかった。
汗と柔軟剤が混ざった青春の香り。
会っていない時の長さを再認識させられた。

「おまえを、迎えにきた」

「約束…覚えてたんだ」

密着した身体が離れるとマイキーの掌が私の頬に添えられる
親指で目尻の涙を拭われた。

唇が触れ、会えなかった時間を埋めるかのように何度も何度も角度を変えてマイキーの舌が唇を掠める
口内に侵入した舌と溶け合うように絡め合った

「ん…はぁ、マイキー」

 
彼との出会いは私が高校1年の春。
毎日の学校と撮影の往復で私は友達も少なくて学校では浮いた存在だった。

青年誌の表紙グラビアを飾った翌日にはクラスの男子から注ぐいやらしい視線、女子からはあんなに脱いで恥ずかしく無いの?とか、自意識過剰だの根暗の癖に生意気だとか…デビューを機に上京した私には頼れる存在は誰もいない。
此処(東京)に私の居場所は無かった。

深夜に行ったコンビニの帰り道、私はたまたま嫌いなクラスの男子達に出会した。
彼らは私を見るなり追いかけ、囲むように道を塞いだ。

「今からコイツん家で飲むんだけどさーお前も来いよ」

「…どいて」

今すぐ此処から立ち去りたいのに道は塞がれたまま、私の言葉を無視して腕を掴まれた。

「行かない!離して!嫌!!」

背後に居た男が私の胸を鷲掴みにした、もう嫌だ…誰か…
そう思った時だった。
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