第2章 Welcome to a new world
車は繁華街から程近いビルの駐車場に到着した。
駐車場前のゲートでは如何にもガラの悪そうな男達がこちらを確認すると律儀にも頭を下げ、お疲れ様です!と大きな声で挨拶をしていた
心の準備ができないまま、私は二人の間に挟まれながら重い足取りで重厚な扉の先へと向かう、
どうか、今日の撮影が私の最後の姿になりませんように。
そんな事を祈りながら、扉は開いた。
「…っ」
思わず息を呑んだ
拳銃を構える男の姿。
「遅ぇんだよ、いつまで待ったと思ってんだ」
二人と同じく、派手な髪色でスーツを着た背の高い男が私達三人に問いかける
色素は薄く、口角に傷のあるその男は鋭い眼光で狙いを定めていた。
ああ、私やっぱり死ぬんだ。
「あー怖い怖い、折角無傷で商品連れてきたっつーのによ」
蘭さんは私の背中を押した、押された勢いで一歩前に出るといよいよ死ぬんだ、と言うか車の中で少しでも蘭さんにときめいてしまった自分は馬鹿だ
私は蘭さんの言葉を思い出す。
稼ぎ頭だとか商品だとか…どこかに売り飛ばす気が満々な男と殺す気しかない男の間に立っている
「ッ…さっさと来い」
大きな舌打ちをすると拳銃を下ろした男は私の震える腕を思いっきり掴んで歩き出す、一度背後を振り返ると蘭さんはひらひらと手を振り、竜胆さんは呆れた様子でこちらを眺めるだけ。
「兄ちゃん良いの?」
「まー大丈夫だろ」
そんな二人の会話を背中に私は拉致同然の姿でその先にあるエレベーターの中へと連れて行かれた
この人たち、本当に怖い。
「逃げないから、離して貰えませんか…?」
力の加減を知らない男は私の腕を思いっきり掴んだきり離さない
「あ?じゃーこっちにしとくか?」
腕を離した男は私のこめかみに拳銃を押し付ける
「…っそれは」
「綺麗な顔ブチ抜かれたくなかったら黙れや」
嫌です、困ります、やめてください。
次に言いたい言葉がありすぎて思考が回らない、人間追い詰められるとこうも頭が回らないものか…
密室の中、絶体絶命の私の顔をこの男は苛々した顔で見下ろしていた。
「降りろ」
押された階層に到着するとエレベーターの扉が開いた、今度は後頭部に拳銃を押し付けられると私を押し出し前を歩かされる
短い廊下の一つしか無い、私の目の前にある扉が開いた。
そこから出てきた小柄でクマがひどい男…
