第2章 Welcome to a new world
どれだけ時間が経ったのかわからない
とうに日は高く昇っていた
さっきまで心配で胸を痛めていたというのに、疲労感で微睡んだ意識の中 後部座席の扉を開けた蘭さんに着いたぞーと言われ、私は良く知る場所に降り立った
今日の撮影スタジオだ…
どうして、、
「んじゃ、後はボスに宜しく伝えといて」
蘭さんは竜胆さんに告げると私をエスコートするように一緒にスタジオへと入っていく
反社の人とスタジオ入りはちょっと…
これは流石に困る…
「あの、私…マネージャーに連絡しないと…それから社長にも」
「なんで?」
なんでって…こっちが今の状況をなんで?って聞きたいわ…
「えっと…とりあえず私の鞄返して貰っても良いですか?スマホも」
ホテルを出るタイミングからずっと蘭さんはPRADAの紙袋に入った私の鞄を持っていた、血の着いた鞄は出せる訳もないがせめてスマホだけでも確認させて欲しい
「大事な稼ぎ頭の管理は俺の仕事だろ?今日からちゃんの恋人兼マネージャーだからさ」
「……はい?」
え、何がどうなったらそうなる訳??
本当に意味がわからない…’もう頭痛くなってきた…
困る私を横目に、スタジオの中から今日の撮影スタッフが迎えに出てきた
やばい、
「さん!!おはようございます!そちらの方は…」
「あっ、いや、そのっ」
「初めまして〜の新事務所のマネージャーを務めます〜
〜今日は少し体調が悪いようで
〜時間までに〜
スラスラと訳の分からない言葉を口に出しては蘭さんは私の背中を押し一緒にスタジオ入りをした
蘭さんの圧力(?)に圧倒されたスタッフは早々にメイクルームまで案内を済ませると行ってしまった。
「蘭さん、私、いつから事務所変わったの?それとマネージャーはメイクルームに入らないの。この後着替えもあるし」
聞きたい事は山程あったけど今は今日の撮影を無事に終わらせる事が優先だ。
簡潔に聞きたい事、今伝えたい事だけを言葉にした
「ンな事は気にしなくて良いから、撮影頑張ろうな?♡
普段どーりにしてろよ」
普段どーり…のくだりの声が怖すぎる、目が笑ってない
私は引き攣った顔で衣装に着替えた
気が遠くなりそうだ…