第26章 勧誘は彼女の笑顔と共に
いつもすることのない時は湖で水浴びをしているか、桜の木の下に立てたユウの墓のそばにいるか、もしくは花畑で寝てしまっているか。
ユキの行動パターンはエースが言うのもなんだがシンプルだった。
朝はエースよりも早く起き、エースの起きてくる頃には朝ごはんが出来上がっていて、2人で朝食。そのあとは水浴びに行き、夕飯の食料を調達し終えたら、夕方まではのんびりとあの花畑で過ごす。
エースは時々ユキのサバイバル力に感心したが、サバイバル生活は慣れてる、と楽しそうに言ったユキに特に追求することはなかった。
また、ユキは物知りであった。さまざまな葉っぱや魚、そして動物、さらに花の種類を言い当て、毎日美味しい食卓を囲めるのだからありがたいことこの上なかった。
エースだけだったら、きっと適当にすましていただろうが、この島のものを溢れんばかりに使ってエースを楽しませてくれたユキは、料理は好きだから任せて、とまた楽しそうに笑ったのだ。