第24章 弟の決意
ユウとの別れの挨拶を済ませてから、ユキとエースはまた、あの青い空間に戻ってきた。
てっきり現代へと戻ると思っていたエースは、次に向かうべきテープを探すユキを不審に思い見つめる。
すぐに、ここだ、と言いまたそこに入っていこうとするユキに、先程のユウの言葉を思い出す。
『絶対に寄り道せず帰れ』
グッとユキの手を握る手に力を込める。今まさに先ほどと同様そのテープに入ろうとしたユキは、突然力を入れられエースを不思議そうに振り返った。その疑心に溢れた瞳を見つめながらも、エースは短く言う。
「帰るぞ」
「・・・・ちょっと待って、もう一箇所、見ておきたい場所が」
「いいから、帰るぞ」
早く、と急かすエースに、ユキも譲れない、と言うように手に力を込めた。
「「・・・・・」」
無言の睨み合いの末、先に口を開いたのはユキだった。
「エース。私は見届けないといけない。弟の、決断を」
「・・・約束できるか。見ているだけだと」
「!・・・・・ユウに、聞いたの?」
真剣なエースの表情に、ユキは訝しむようにその真っ直ぐな目を見つめる。沈黙するエースから肯定を受け、ため息を吐く。
「・・・大丈夫。私には、そんな力、ないよ」
じっとエースは確かめるように、この空間よりも深い青い瞳を覗き込む。嘘はついていないと感じ、しぶしぶ力を弱める。
「今回、話すことが目的じゃないから、上から見るだけにする」
それに・・・忍び込むには少し狭いからね。
そう言って腕をくるりと回したユキは、その中に現れた情景をじっと見る。
そこには____海の上に浮いている1つの軍艦があった。
「へぇ!そんなこともできんのか」
目を瞬かせるエースに、ユキは苦笑した。
「本来、さっきみたいに降りる方が珍しいし、体力も使う。危険だし制限時間もあるし」
さぁ、と先程の約束は果たされたのかとユキは作ったその窓を覗き込んだ。
が、すぐにその情景に息を呑んだ。