第23章 弟の本心
それを聞き届けたユウの、ニカッと笑うその笑顔は、きっと、もう見られない。それを知っているのに、どうにかしようとしていた、ユキを思い出す。
先程の話が本当なら、このまま過去にいるのはまずい、とユキのいる方を見る。
「エース!」
すると、ちょうどユキもこちらを見ていたようで、目が合う。が、ユキの体が先ほどよりも薄れていることに気づき、慌ててユキの元へ走る。
「・・っ!時間か!?」
コク、と頷くユキは、エースに向かって手を伸ばしてくる。それをがっしりと掴んだエースは、後ろにいるユウを振り返る。すると受け取れ!っと何かが投げ渡され、エースはそれを片手でキャッチした。
「?っこれは!・・・・・ユウ!!会えてよかった!」
「エース・・・俺もだ、守れよ、約束!」
お互いにニッと笑い合う姿に、ユキははてなマークを浮かべるが、すぐにユウへと手を伸ばした。
「・・・ユウ。私との約束も、守ってね。・・・愛してるわ、たった1人の私の弟」
ちゅっとおでこにキスをするユキに、ユウはカアァっと顔を赤くする。しかし、すぐにユキの手をとり、その甲にキスを落とした。
「俺もだ。ありがとう、姉さん。・・・幸せに、なれよ」
パァッと消えていく光を、ユウはいつまでも見届けた。轟々と炎の広がる街を背に。いつまでも。