第23章 弟の本心
そう言ってユキのいる方角に目を向けるユウに、思わずはぁ!?とこぼす。
「じゃあなんだ、あいつは未来を変えるために未来からやってきて、そのままずっと俺たちのいる時代にいるってことか!?」
「そうだ」
ありえねぇ、そう言いそうになったエースだが、ここはグランドライン。未知なる海の後半である新世界。何が起きても不思議ではない。それを思い出し口をつぐんだ。
「・・・・あいつは、何をしようってんだ」
「・・・・それは、俺にもわからない。なんせ、あいつは自分が未来から来たことも、なぜここにいるのかも、一年いなくなったことも、何も覚えてなかったんだ。俺の質問に答えた後、すぐに気を失って、次に起きたら中身だけ一年前のユキになっていた」
「!・・・・それが、代償か」
コク、と頷くユウ。悪魔の実の能力には限界がある。もし、その限界を超えることをしてしまえば、代償はつきものだ。それがもし、記憶だとしたら?
だったら、いったいユキは何をしにきたのかもわからない中で自分がこの時代の人間じゃないことも知らないままこの時代に生きてるってのか?
それは一体、なんて滑稽なことだろうか。
何かを変えるために過去に来たのに、10分という制限時間が邪魔であったのか、それ故に記憶を奪われ、結局は何も変えることも、元の時代に帰ることもできずにいる。
「・・・あいつが未来から来たってんなら、何かやりたいことがある。なのにそれを思い出せず、ずっと苦しんでいる」
「ちょっと待て、あいつは自分が未来から来たことは知ってんのか」