第23章 弟の本心
「・・・・・・・昔、しばらく帰ってこない時期があったんだ、ちょくちょく過去に飛んでたりしてたから、きっと今回もそうなんだろうと思っていたが、なかなか帰ってこなくてな。
・・・・一年経って、ようやく帰ってきたユキは、随分疲れ果てていた。それに・・・・俺の知るユキとは少し違っていて。一年の月日がそうさせたのかと思ったが、そうじゃねぇ。いきなり伸びた身長に、女っぽくなったユキ・・・それに決定的だったのが、髪の長さだ。
行く前は短かったのに、なんでか腰まで伸びてた。女のことなんざ知らねぇが、それは一年では不可能だ。見たこともないその姿に、俺は聞いた。
『お前は、どこから来たんだ』」
「・・・・?」
エースは一旦言葉を切るユウに、何が言いたい、と視線を向ける。ユウは、それを口にするか迷っているみたいだったが、意を決したようにエースの黒い双眸を見る。
「あいつは答えた。
『私は・・・・ずっと遠くの海から、『__』を変えるために来た』
・・・俺は思った。そこに入る言葉はきっと、『過去』じゃねぇか?って。つまり俺の目の前にいるユキは、未来からきたんじゃねぇか?ってな。でも、制限時間があるから10分経てば元のユキが現れると思ったんだ。けど。
・・・・・10分経っても、ユキは未来のユキのままだった」
「!?そりゃ、どう言う意味だ」
まさかの言葉に、エースは心臓が早鐘のように打つ。じゃあ、今一緒にいるあいつは一体、なんなんだ、と。
「・・・あんたの考える通りだよ。あれは、『未来から来たユキ』だ」