第22章 その町は
「・・・・なぁ、まさか、姉さん、未来から・・・?」
コク、と頷くユキは、さすがね、と見破った弟を褒める。
「私は『___』。あなたを『_____』。だから、お願い、約束して」
「・・・・・待てよ、なんの話だよ。ここで俺は、死ぬっていうのか?」
エースは、先程から空白の言葉を、目の前にいる姉の正体を、次から次に見破る弟に感心する。よくこんな状況で察しがつくもんだ、と自分の未来を知った弟を見る。
「・・・・大丈夫。あなたは、『____』。だから、お願い、約束して」
「・・・何を、だよ」
「お願い。姉がいたこと・・・・忘れて」
「!?」
「あなたに姉はいない。いい?」
「な、に言ってんだ!!!」
「ユウ!!こうしないと!!『________』!!」
「なんだよ、姉さんを忘れなきゃ、俺が死ぬ目に合うって言いたいのかよ!?ふざけんな!!」
激昂したユウが、ユキの頬を両手で挟み込む。
「いいか、ユキ!?俺はあんたを、一生の恩人だと思ってる!その恩人を忘れるくらいなら、死んだ方がマシだっ!!!」
「!」
ユキ、そう呼ばれたことに、衝撃を受けるユキはそれでもと弟を見返す。
「・・・・私にとっても、あなたは恩人!!だからここまできた!!約束して、ユウ!!!」
負けずにそう叫ぶユキは、ユウとしばらく睨み合った。引く気のない中、ユウはため息を吐くとずるり、とその場に蹲る。
「・・・ユウ?」
「・・・・・・・1つ答えろ。俺がもし、姉さんの言うことを聞けば、俺たちはまた会えるのか?」
「・・・・必ず」
そう力強く頷くユキに、立ち上がったユウは降参とばかりに両手を上げた。