第22章 その町は
「・・・・ユウ。ごめん。私は、あなたとは行けない。」
「っ?!なんでだよ!?やっと会えたんだぞ!?あの地獄から、やっと抜け出せたんだ!もう俺は、俺のせいで苦しむ姉さんを見たくない!!姉さんは、自分1人なら逃げ出せたはずなんだ!それなのに、俺はっ俺のせいで、姉さんから逃げ場を奪ったんだ!!!俺は、姉さんと一緒に暮らしたかっただけなのにっ・・・・本当にごめん、俺のせいでっ姉さんの幸せをっ・・・・」
そう後悔を言葉にするユウに、ユキは優しく頭を撫でる。
「・・・・ユウ。・・・聞いて、私は、あなたに『_____』を言いにきたの」
「?」
エースは、ユキの言葉から音が消えていることに気づく。ユウも、聞き取れずに不思議そうな顔を向ける。ユキだけが、それがあたかも当然のように話す。
「ユウ。私は、あなたが弟で、幸せだった。あなたのせいでなんて、思わないで。私には、いつでもあなたが必要だった。あなたのおかげで、私は今まで生きてこれたの。
あなたが、私の生きる糧・・・希望だったの。
だからねユウ・・・たとえこの先私が死んでしまっても、私は、あなたに『___』っ欲しいの!それだけは、お願いっ忘れ、ないで・・・」
「・・・何、言ってんだよ、姉さん。これが最後の別れみたいな話、・・・・・っまさか!?」
ポロリと涙を流すユキに、空白の言葉に、意味が分からない、と困惑した様子のユウは、その現象に心当たりがあるのかハッと姉をまじまじと見る。