第22章 その町は
しばらくその状態でいたエースとユキだが、奥から聞こえてくる足音にガバリと離れる。と言うよりもエースがユキに思い切り押されて離れたのだが。
パタパタと急ぐ足音が聞こえてくることに、エースはじっとその奥を見据える。
「・・・・・姉さん!?」
現れた正体は、そう叫んでこちらに駆けてきた。・・・・姉さん?
その言葉にまさか、と思いユキと顔を見合わせる。すると、エースは自分に向けられる殺気に気づき向かってくる蹴りを片腕で受け止めた。
「・・・・いきなりご挨拶じゃねぇか」
「・・・お前、誰だ。なんで姉さんと一緒にいやがる」
ガルルゥゥ、と番犬のようにエースに噛み付く姿に、エースは苦笑した。いきなり歪み合う2人に慌ててユキが真ん中へ入る。
「ちょ、待ちなさい!ユウ!この人は私の恩人よ」
「・・・」
本当か?と疑う目で見てくるその弟に、エースはこくりと頷く。それにしぶしぶ振り上げた足を降ろすと、すぐにユキを抱きしめた。
「っ無事でよかった!!!!」
心の底からの安堵を言葉にする弟『ユウ』。そんなユウを、ユキも抱きしめ返す。
「っごめんなさい、私のせいであなたはっ」
「気にしないで、姉さん。俺は大丈夫、それより大変なんだ。今夜、この街は消える!!だから、早く俺と一緒に逃げよう!」
「・・・・」
再開の挨拶もそこそこに、ガッとユキの手を取り駆けていこうとするユウは、動かないユキに不思議そうな顔をした。
「?どうしたんだよ、姉さん?急がないと、あいつが来る!」