第22章 その町は
気づけばどしんっと地面に落とされた2人は、周りを見渡した。先ほどまで降りかかっていた雨のないことで、本当に過去に来たのかと驚くエース。
「・・・・っここは!」
「・・・・・やっぱり、あの時、来てたんだ」
見覚えのある景色に、ぽつりとこぼしたユキは、エースを振り返る。
「エース、約束して。この力は10分の制限があるの。だから、絶対に10分後、私の手を繋いでて。じゃないと、時空に飲まれる」
「・・・時空に飲まれるって、具体的に?」
「元の時代に帰れず、一生彷徨う」
「!・・・わかった」
ユキの剣幕にゾワっと悪寒の走ったエースは、自由にみてまわろうと考えていたことを取り下げる。
その言葉はどうやら嘘ではないようで、なんだか体が少し透けている。この時代にいてはならないものだと主張するかのように、何かに触るとピリッとした痛みが襲う。
そのくらい、エースとユキの存在はこの世界に不適合者だった。
「・・・・なぁユキ、ここは、お前のいた街、フレア島だろ?」
「・・・・そう。多分、あの火事を起こしたのは天龍人だと言っていたから、ここを選択したの」
選択?意味が分からずに聞き返そうとすると、隠れてっと押される。
「・・・・・」
「あいつら・・・」
先ほどまでエースとユキがいた場所を通りかかったのは、あの時島に来た役人であった。エースとユキは路地裏に身を隠し、役人たちが通り過ぎるのを待った。
「早く弟を見つけないと」
声を押し殺すユキはそう言って役人たちを追うため走り出す。エースもそれに続こうとするが、後ろから聞こえてきた声にギクリと体を強張らせた。
「____」
「_____」
まずい、この声は、マルコとサッチたちだ。
まさかこんなところで、しかも1番厄介な奴らに。先程の役人たちには見つからなかったが、こいつらには確実にバレる。
そう思い痛恨の表情を見せるエースは、このままではユキとともに見つかると思い役人を追おうとするユキの手を引いた。