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Time to Time ーAS・Lー

第22章 その町は


え、とまさかの方向から力を込められたため、ユキは素っ頓狂な声をあげてまた路地裏に連れられた。

「っ!?なにす___!?」

くるりと振り返り、抗議の声をあげようとするユキの口を、己のそれで塞いだ。
抵抗しようとするユキの両腕を勢いのままバンッと路地の壁に押し付け、己の体でユキを隠すように立ち塞がる。尚口を開こうとするユキを、舌をねじ込むことで黙らせる。

「おーおー、見ねぇと思えばこんなことでお盛んかよ、エースよぉ!」

そんな声が聞こえ、びくりとユキは体を固めた。エースの意図がわかったのか、視線を交わし黙ってされるがままになる。
途中漏れる吐息に意識を持っていかれそうになりながら、エースは後ろの2人に集中した。

「おいサッチ、野暮な真似すんじゃねぇよぃ。さっさと行くぞぃ」

「ったく、後で聞かせろよお!その女のこと!」


そう言い去って行く2人を横目で見ながらユキを解放し、そういえばこの島を出る前に妙なことをサッチとマルコに聞かれたな、と思い出す。

『エース!お前やるなぁあんなとこでよぉ!!で?どうだったんだ?よかったんだろー?』

『場所を考えろぃ、あんなとこで。あの女も気の毒なもんだよぃ』


全く身に覚えのないことを聞かれ、はぁ?と一蹴した覚えがある。そうか、あれはこのことを言ってたのか、と妙に納得すると共に、過去の自分に謝る。

そこでふと気づく、今日がその日ならきっと、今夜だ。今夜、この街に火が上がる。
それに気づき、エースはそこで初めてユキに目を向け、目を見開いた。


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