第22章 その町は
「『ユウ』の過去へ」
そう呟くユキは、エースの手を取りペンダントへ吸い込まれていく。手を繋がれたエースも、ユキ同様に吸い込まれる。
「っ海!?」
ペンダントに吸い込まれた後、エースは投げ出された場所を見回して驚く。
海の中にいるのかと思うほど、青い空間であった。そこは真っ直ぐ、上から下へとどこまで続いているのかわからない、空洞だ。
「___ここは、時空の狭間」
「狭間?」
呟くユキは、エースの問いにコクリと頷く。
「・・・このテープの中、エースには見えないだろうけど、ここに弟の一生が描かれてるの」
そう言いながら指差すユキは、例えるならば映画のテープを全て紐解いたような黒いそれをエースは確認した。
ユキ曰く、そこには弟の全てが詰まっているらしい。・・が、そこでエースはふと疑問に思った。
「・・・・短くねぇか?」
そう、人の一生と言うなれば、もっと長いテープになるんじゃないかと思ったのだ。が、その弟の一生と示したその黒いテープは、ちょうどエースたちの目線で切れていた。この底も上も見えない空間に似つかないそれは、異様だ。しかし、エースの質問に表情を曇らせたユキに、エースは悟った。
____寿命も表してんのか
きっと、本来ならばもっと長く、この広い空間を真っ直ぐに伸びているはずのものなのだろう。
ユキは黙ったまま、少し下へと慎重にテープを見ながら降りる。
ここだ、と小さくつぶやいた時にはエースの手ごとテープへ手を伸ばした。