第16章 彼女の復讐
・・・・こいつは、弟を殺したのは、自分だと思ってやがる
。自分があの天竜人から逃れたせいで、殺されたのだと。だから、ユキには殺さねばならない、果たさねばならない復讐が2つあった。
それが、あの天竜人と、ユキ自身だ。
あの天竜人への復讐が果たされた今、尚、ユキの中から殺意が消えないのは、復習すべき相手がもう1人、残っているからだ。
それが分かるエースに、ユキの復讐を止めることなど、できない。止めるなら、天竜人への復讐も止めるべきであった。
「だったら俺は・・・・」
ため息を吐き、復讐を止めることを諦めたエースは、自分のテンガロンハットを被るユキの頭からそれを下ろした。
ユキを見つめるその目は、まるで狙った獲物を逃がさない、さながら肉食獣のようで、ユキは体を強張らせた。エースは、帽子を取った手をそのまま固まるユキの後頭部を掬い、強く引き寄せる。
「っん!?」
いきなりのことにユキは目を見開く。グッとエースの胸板を押すも、力の差がありすぎて抵抗できない。
それをいいことに、エースはもう片方の手でしっかりと腰を抱き、その唇にさらに深く口付けた。息を求めて少し開くその唇を強引に割り、ユキの舌をエースは自身のそれで絡みつける。
クチュリ、クチュ、と卑猥な音に、エースの好き勝手に蹂躙するその舌に翻弄され、ユキはガクッと腰を抜かした。
それと共に離される唇から、扇情的な糸が伸びる。それをペロリと舐めるエースに、ユキはゾクリとする。