第16章 彼女の復讐
「ユキ。俺ァ、お前のその瞳が気に入った。覚悟も、女にしておくにはもったいねぇ。俺が、お前の生きる意味になってやる。だから、まだ死ぬな」
「・・・・っそんなの、できるわけない!私は、復讐を終わらせないといけない!エースに止める権利はない」
「止めねぇよ。その復讐を、少し待てって言ってんだ」
「待つことなんて、もうできない。私は、もう・・・・・私が生きているのが、許せない!!」
「・・・俺はそうは思わねぇ。お前は、生きるべきだ」
「っ!?なんの、ために?もう、ユウは、いないのに?」
「言ったろ。__俺のために、生きろ」
「っ私があなたのために生きる理由なんて、!」
「ある。俺は、お前が欲しい」
「!!!」
エースのまっすぐな言葉と、情熱的に燃える目にじっと見つめられ、カァッと真っ赤にする顔を見て、エースはお?と少し驚く。
「なんだ、そーいうことはされてねぇのか」
「__そーいうことって」
聞き返すユキに、ニッと今まで見せてきた笑顔ではなく、少し企むような顔で笑ったエースは、腰を抜かして座り込むユキと目線を合わせるためしゃがみこむ。
そして、先程の強引なキスで未だ濡れるその唇を指先で拭い、それを舐めとった。
その行為に卑猥な気配を感じ、ユキは体を固めた。
「っ!?」
「ま、ゆっくりだな!」
そんなユキを楽しそうに見ながら、横抱きにするエース。
ゆっくりと歩くエースに、抱えられたユキはこれでもかと言うほどに顔を真っ赤に染め上げる。
「歩けます!」
「強がんな、腰抜けたんだろ」
「っ誰のせいで!」
「俺」
いけしゃあしゃあとそう言ってのけるエースに、それ以上の言葉が見つからず、パクパクと声にならない抗議をするユキ。が、無駄だと分かるや否や、ため息を吐きながらエースの後ろ、まだ煙の上がる場所を見る。
「・・・・まだ、しないといけないことが・・・・」
「・・・?」
「あいつらの骨を、流したい」
この島に、埋葬もしたくない、といったところだろう。そんな気持ちがエースにも伝わってきたが、足を止めることはなかった。
「明日にしろ、もう日が暮れる」