第15章 お尋ね者
悠々とまるで自分の武勇伝を語るかのように、さも当然のことだと言う天竜人に飛びかかる女。
シャボンのケースのような被り物ごと、思いきり殴る。何度も、何度も殴り続けるその小さな拳から血が流れようと、それでも一心不乱に殴り続ける女の両手首を、エースは掴む。
「はな、してっ!こいつは、私の弟を!私なんかを受け入れてくれた街を!全て焼いた!!!止めないで!!こいつを殺して、私も死んでやる!!!!」
グッと力の入る女は、それでも女の手ではエースの腕を振り解けず、離せと叫ぶ。手首を掴むエースの手にまで滴る血が、こいつの怒りを現しているようで、痛々しい。
エースは血塗れになったその両手を引っ張り、天竜人から退かせる。
「・・・止めねぇよ。けど、その手で殴り殺すことは出来ねぇ。お前は、どうしたい?ここは幸いにも無人島。ここにいる奴らを殺せば、お前が天竜人にこれからする行為は、俺とお前しか知らねぇ。・・・・お前の望む方法を、聞かせろ」
そう言い聞かせると、女は手に入れた力を抜き、エースを振り返る。
「こいつに、弟と、街の人々の受けた痛みを、苦しみを、味わわせてやりたい」
____お願い、手伝って。
そうエースを見上げる女に、ニッとエースは笑う。