第15章 お尋ね者
それを見せた瞬間、みるみるうちに青くなるその女の表情に、やっぱりな、と確信する。
「俺は自分が火だからか、そーいう匂いには敏感なんだ。甲板が妙に焦げ臭かった。まるで、何かをさっきまで焼いていたような・・・・・お前、ここにくる前に何を焼いていた?」
「!?」
まさか、とそのペンダントをよく見る女は、焼け跡があることに気づき、足元から崩れ落ちた。
「なんて、ことを!!!オマエ、私の弟を、ユウを、焼き殺したの!?」
ギッと天竜人を睨みつけるその瞳には、絶望と、哀しみ、そして言い切れない、怒りが見える。
「・・・おばえが逃げるのが悪いんだえ」
「私が欲しいなら、生かしておくべきだった!!」
「・・・・・うるさかったんだえ。おばえの居場所をようやく突き止めたかと思えば、ずっと呻き続けるんだえ!『俺のことはどうなってもいい、姉だけは見逃してやってくれ』なんて言い続けるえ!終いには、おばえを炙り出そうと火を付けた街を見て、わちしを殺そうとしたんだえ。おばえがあの炎で死んだと思ったんだえ、だから、姉と同じ方法で、焼き殺してやったんだえ!!!!
フェッフェッ!下々のクズが、わちしを殺そうとしたんだえ、罰が下って当然ぞえ!!!まぁ、おばえはこうして生きていたし、わちしもおばえが生きているのはこのビブルカードでわかっていたから、完全に無駄だったんだえ!フェッフェッフェ!おばえの弟は、おばえを殺されたと勘違いして、無駄死にしたんだえぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」
「黙れェぇぇぇぇぇぇ!!!!」