第2章 知らない女
『『ーーー』』
「・・・・・・・・・引き止めて、ごめんなさい。ありがとう。エース・・・私も、『愛してる』」
「は・・・・・」
何が起こったかわからないまま、エースは固まった。だが、その女に背中を押され、ハッとして急いで甲板へと向かう。・・・・・その前に。
「おい!!!ここで待ってろよ!!!!!!さっきの、どーいう意味か教えろよ!!!!」
そう怒鳴りながら駆け足で出ていく。途中、手の甲で自身の唇を拭いながら。
なんなんだ、あの女は!!!
憤慨しながらも甲板へと出ていくその後ろ姿を、女はじっと見つめながら呟いた。
「・・・・・会えてよかったよ、エース。今度こそ、必ず・・・・・」
その姿が透けて、消えて無くなるまで、女はもう見えなくなったエースの背を見つめ続けた。