第10章 海に呑まれる
「何してんだ!!!!こんなとこで!!!死にてぇのか!?!?!?」
そう小舟の主に捲し立てた。
一体誰に言ってるのか、とその姿を確認しようとした時だ。後ろから、自分を呼ぶ声が聞こえたかと思えば、すごい力で引っ張られる。
「グララララ、こりゃすげぇのがまたきやがった、マルコ、船に戻れ」
親父の手だ。ハッとして後ろを振り向くと、先ほどよりも大きな波が迫ってきていた。
これはまずい、モビーも心配だが、下にはまだエースがいる。
「エース!!!!!早くこっちにうつれ!!!!」
そう叫ぶが時すでに遅し。こちらを振り向いたエースは、先ほどよりも大きな高波を捉えすぐに小舟の主をその両腕にかき抱き衝撃に備えた。
それをみた親父は、アホンダラァ、と言いながらもう片方の手で持っていた薙刀を振りかざす。
ガンッッッッと高波と薙刀の衝撃波に、船と海は荒れる。
高波が真っ二つに割れることで、海には2つの波ができ、マルコたちの乗るモビーは、エースたちの乗る船とは逆に流されてしまう。
高波に飲まれることはなかったモビーだが、エースたちの乗る小舟は一気に飲まれ、暗い海へと消えていった。
「エースーーーー!!!!!!!!」
マルコの叫び声が、荒々しく更なる波を寄こす海に響いた。