第52章 1番隊
「・・・・で、俺のとこが最初だと・・?」
「・・・・・」
「そーみたいっすね!」
少し不機嫌そうな顔のマルコを前に、ユキはその眉間にこれ以上ないほどの皺を寄せながら、隣で能天気に笑みを浮かべる天敵、と言っても良いほどの男、ドリーを睨むつける。あの一件があって以来はユキに近づいて来なくなったのに、なぜかこうして隣にいる。
「・・・・・・ユキ、その顰めっ面どうにかしろよぃ」
「・・・・」
ギギギ、と効果音のつくそのぎこちなく釣り上げられた口角に、マルコは先が見えずため息を吐いた。
「で、サッチがなんだって?」
ユキじゃ話にならないと、説明を求めて隣で呑気に笑うドリーに尋ねる。
「いや、なんかエース隊長がいないから休みなのに仕事しようとするから、サッチ隊長が暇なら他の隊でも見てこいって!言わば船内ツアー!」
ヘラヘラと笑うドリーに、マルコは痛む頭を抱えてそれで?と目を向ける。
「なんでお前が?」
「いやぁ、俺、前回かなりユキのこと怒らせちまったみたいだから、これで名誉挽回というかですね。とにかく隊長に頼み込んで、案内役やらせてもらいます!」
そう言って敬礼をするその姿の隣では、もう諦めたような顔をしたユキがドリーを空気として扱っている。
「・・・・よぃ」
その姿になんてもの押し付けてくれたんだ、と目眩がしそうなマルコは、それでも、と孫の手も欲しいくらい忙しい一番隊にいいこき使いがきた、と目を光らせる。
手に取ったリストの中からいくつかピックアップし、ユキの手に渡す。