第51章 彼の留守
「ッ・・・・ほんとは、すごく、寂しい・・・エースがいない、のは、不安・・・・」
「・・・ん」
そう言ってユキの頭に乗るエースの手は、いつもと同じく暖かく安心するもので、それに縋りつきたい想いに駆られながら言葉を紡いだ。
「けどッ・・・ここで頑張るから!・・エースも・・心配しないで・・・!!」
そこまで言い切ったユキを、エースはギュウっと羽交締めにした。
「・・ッちょ、エース!!」
サッチやマルコたちのいる前だということに真っ赤になったユキが離そうとしても、エースは離れてはくれない。その強い力で押しつぶされるような抱擁を受け、ユキは自身の肩に顔を埋めたエースへと戸惑いの視線を送る。
「あーーーーーーー・・・俺が寂しいみてーじゃねェか」
少し拗ねたように呟いたエースに、ユキは同じように口を尖らせる。
「・・・・私も寂しいよ」
「・・・・・・・・いつの間にそんなにマルコやサッチのこと信頼してんだよ」
そんなことを言うエースに、困ったように眉を下げるユキ。もちろん、エースにとってはユキに信頼できる者ができるのは心強い。しかし、その名がオヤジと共に今出されるとは思っていなかったため、少し不貞腐れたのだ。
「ええ・・・だって、エースの頼りになるお兄さんたちなんでしょう?」
「ウ”・・・まぁ・・・ハァ・・・」
仲間と仲良くしろ、と言ったのは自分であるし、兄のように思えと言ったのも自分だ。言い返せない言葉にぎゅう、とさらに力を込める。それに少し苦しそうに呻くユキを、この場に置いて起きたくない、というのは完全なる自分のエゴだ。それを分かっているから、大丈夫だと言う彼女を無理に連れ出すことはできない。