第51章 彼の留守
「やっぱ連れてく・・!オヤジに言ってくる!」
そう言ってオヤジさんの部屋に向かうエースに、ユキは慌ててその腕を掴み止める。
「ちょ、大丈夫だって・・!サッチさんもマルコさんも、オヤジさんだっている!」
その言葉に、ピクリと反応したエースはチラとユキを見下ろした。
「じゃあ言えよ」
「え?」
少し不機嫌そうに口を尖らせたエースは、に向ユキき直る。
「大丈夫とか、んな気休めいらねぇから・・・どう思ってんのか、言えよ」
「ッ」
その言葉の意味が分かり、大きく目を見開くユキ。彼は見抜いていたのだ、ユキがサッチの後ろで泣きそうな顔をしていたことも、本当は行って欲しくないと思っていることも。
恥ずかしさから、ユキはその場に蹲りたい気分になるも、そんなことをしてしまえば確実にこの男はユキを一緒に連れていくためにオヤジさんへと直談判しに行くだろう。
そもそも、ユキは自身が足手まといにしかならないことは1番よく知っている。だから連れて行っても困るのはエースだ。そのことを理解しているからこそ、ついて行くわけにはいかない。それに、この船でエースが居なければ過ごせないなんてこと、あってはいけないのだ。
そう思い直し、染まった頬をあげエースの腕を掴んだ手に力を込める。