第49章 雨音とともに
「・・・・エースって、変だよね」
ぽつりと呟かれたその言葉に、お前にだけは言われたくねぇと返したいのを我慢し、続きを促す。
「能力者のくせに雨にはしゃいでる変な女なんか放っておけばいいのに・・・」
「なんだ、自分でも分かってたのか」
エースの心から出たような感心した呟きに、少しジト目を向けるユキ。
「うるさい・・・・悪魔の実の能力者が、雨や水を好きだなんて変でしょ」
「うん、すっげぇ変。意味わからんねぇ。マルコは変態だっつってた」
え!?と振り返るその顔は少し傷ついていて。それに笑みを溢したエースは、ユキの肩口に顔を埋めた。
すり、と肩まで伸びるその髪に擦り寄るようにすると、くすぐったそうに身を捩るユキ。
「まぁ、いいじゃねぇか。変でも、フツーでも。この船にいる奴らはみんなオヤジの息子だ」
「・・・私、娘だけど」
むっとしたように返すユキに、そりゃ悪かった、と笑いながらぐりぐりと額を押し付けるエース。それを、母親に甘える子供みたいだな、と目を細めるユキは、じゃあ、と呟いた。