第49章 雨音とともに
「へぇ!そりゃまた珍しい・・!あの子も能力者だろ?」
「おー、海に落ちた時みてェな感覚がして体もあんま言うこと効かねェし、俺にはさっぱりだが・・・・あいつはそれがいんだと」
変なやつだよな、そう言って笑うエースは背を向けて一つのテーブルに着く。そこでは少し気怠げな1番隊長が座って新聞を片手にコーヒーを啜っている。いつもより重そうなその瞼を苛立たしげに新聞へと視線をやっているが、先ほどからページは捲られていないことに、能力者が雨を嫌いであることがはっきりと示される。
まぁ、普通の人間でもこの鬱とした気分を持ってくる雨というものを好きな物好きは少ないだろう。それなのに、朝番の準備だけは終わらせてすぐに駆けて行ったあの小さな背中を思い出し、1人で頷くサッチ。
うん、変な子だ