第49章 雨音とともに
その日、朝から憂鬱な気分で目を覚ましたエースは、窓から聞こえてくる音に顔を顰めた。
「・・・」
ポツポツと窓を叩く雫が重力に負けて縦に線を引くその光景に、言い知れない苛立ちと共に、一つ舌を打つ。
少しだるい体は、やはり悪魔の実を食べたからなのか、しかしこの鬱とした空気は能力者になる前からも好きではなかった。
いつもより癖っ毛な髪を掻き回し、欠伸をしながらシャワールームへ入る。じめっとしたこの朝をどうにも好きにはなれないため、いつもエースは頭から水を浴びて気持ちを少しでも切り替える。じっとりと張り付く汗を適当に流し、癖っ毛な髪をペタリと倒す。
ボッと一瞬で乾かした己の体に、最低限の下着とハーフパンツを履き、ブーツを履いてからようやく扉を開ける。
廊下ですれ違う隊員達の声掛けに、適当に返事をしながら目当ての場所、食堂へと足を進める。