第48章 弟への指針
「・・・っあぶ、危ないですって!!私の反射神経の悪さ舐めないでください!!」
必死にそれを両腕で抱きしめるように受け取ったユキが、くわっとマルコに怒る。まさかここまで慌てると思わなかったマルコが、素直に悪かったよい、と謝る光景に、エースは一人笑いを堪えていた。
「・・・ゴホンッ・・・それ、お前らがいた島のエターナルポースだよい」
「!」
「エースに頼まれて作っといてやった、それがありゃ、いつでもその島にいけるだろうよい」
じっとそのエターナルポースを眺める。ある一点の磁力しか記録せず、ずっとその島を刺し続けるログポース。それが、エターナルポースだ。
そこに掘られた文字をゆっくりと読見上げる。
「・・・・スイレン島」
「へぇ、あの島、そんな名前だったのか。花みてぇな名前」
「・・・うん、花の名前だよ・・ユウには、ピッタリ。
・・・・・ありがとうございます、マルコさん!」
にっこりと笑うユキは、もう完全にいつも通りで。先ほどまで見せていた怒りが全てなくなったユキに、マルコは少し眉を寄せた。
「・・・・・・・そんなに完璧に、白ひげ海賊団になろうとしなくて、いいんだぞ?」
「・・・なんのことですか?」
にっこりと笑うユキに、マルコはひとりその瞼を閉じた。先ほど、怒りを露にしていたユキは、きっと本来のユキでもあるのだろう。今回は掟に触れそうだったから止めたが・・・・本来のユキのままこの船に馴染めなきゃ、意味がない。
海賊とは、自由なもののはずだ。なのに、それと真逆な道をひとり行こうとするユキを、知ってなお止めないエース。知っていても止められない自分達。その境目がキッパリと分けられていることに、少し寂しく感じる。
「・・・・それでいいなら、いいんだよぃ」
そう言って2人を部屋を追い出すマルコは、これからあの2人の辿る道が険しいことを悟る。