第8章 その正体
「終わったよぃ」
しばらくした後、シャッとカーテンが開き中からマルコと、治療し終えたのであろう、包帯をまかれた少年が出てきた。
「傷は?」
「・・・まぁ、ひどい火傷のところはあるが、手首は比較的軽い。傷も残らねぇだろうよぃ。」
「傷なんか残ったっていいだろ?女じゃあるめぇし」
はは、と笑うと呆れた表情を向けられた。
「・・・な、なんだよその顔」
「はぁ・・・お前な、こいつ、女だよぃ」
「・・・・・・はぁ!?」
そう叫んで、エースはマルコの少し後ろにいる少年、否、少年だと思っていたヤツを見る。
動きやすい短パンにTシャツといったラフな格好をし、髪も短く、顔も童顔で、15歳くらいにかろうじで見える。
男にしては細腕だし、腰も細いし、えらく可愛らしい顔だとは思っていたが、女特有の凹凸もない、パッと見は少年にしか見えないコレが、女ぁ!?
失礼なやつだよぃと、ジロジロとその女を見るエースに言うマルコ。
まぁ、わからなくもない。マルコ自身、直診した時にわかったのだ。見た目では、誰も女だとは思わない。
「あ、あの!」
今まで黙って成り行きを見守っていたそいつが、意を決したように声を上げた。
「治療、ありがとうございました。あと、・・・・僕、のこと、女ってバラさないで欲しい、です」
「ああ。それはいいが、なんでそんな格好を?」
マルコがそう聞くと、歯切れ悪くその女は答える。
「・・・少し、事情が、あって。。。。言えません。」
そうはっきりと口にした女は、さっきまでエースに見せていた虚な瞳ではなく、芯のある瞳をしていた。