第45章 変化
「ここ!日が照って、ポカポカしてるの。海の音が聞こえて、この船に乗る人たちの足音、笑い声、色んな音が聞こえてきて・・・・落ち着くの。いつも休憩の時はここで休んでるんだ」
そう言って連れてこられた場所は、少し甲板からは死角になり、普段は誰も通らない通路。そこの上によじ登ろうとするユキに苦笑し、エースは甲板を蹴る。
一瞬でめざしていた場所に到着したエースに、ユキはその身体能力を羨む。そんなユキに手を差し伸べ、グイッとその体を引っ張りあげるエース。
とんッとつけた足に、ユキはそこから広がる海に目を奪われた。甲板から眺めるのも好きだが、こうしていつもと違った場所から眺める海も綺麗だ。
ここなら、ドリーにも見つかるまい。他のクルーたちも、滅多に来ないことを知っているユキは、コロンとその場に寝転んだ。
「・・・・おーい、ユキさん?」
「ここ、私の秘密の場所」
「・・・俺にあっさりバラしてんじゃねぇか」
「エースはいいのよ。私の唯一安心する場所が、エースの隣なんだから・・・・それに、お気に入りの場所にエースがいてくれると、お気に入りが二倍になった感覚」
くすくすと笑いながらその瞼を開け閉めするユキに、エースはそっとその目を手で覆った。