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Time to Time ーAS・Lー

第7章 火傷


コンコン、と医務室の扉を行儀良く叩き、開けるとそこは地獄絵図と化していた。

「痛ぇよぃ!!!このガキャ!!じっとしろぃ!!!火傷の傷を治すだけだ!!!」

「いやだ!いらねぇ!離せぇ!!!!」

治療しようとするマルコの手を、あの手この手で逃れようとする少年。終いにはマルコの頭にのぼり、パイナップルのような髪を引っ張る。

・・・・なんだ、これ

そう声も出さず指差すと、後ろに控えていたナース達が諦めたように肩をすくめる。

しばらく2人の攻防戦を見守っていたエースだが、マルコの手が本格的に少年を押さえつけたことにより手首に負った火傷への痛みに顔をしかめた瞬間、パッと手が離された。

と思いきや、マルコはすぐに少年を椅子に座らせ、両手をさっきとは違い優しく掴みながら言い聞かせるように話し出す。

「いいかぃ?俺は医者だ。痛いことはしねぇよぃ。じっとしてろぃ——」

そう言って青い炎を出すマルコに、少年は手を振り払おうとしたが、すぐにその熱くない炎に気づきされるがままになる。

「ーーーーPhoenix」

そう呟いた少年の声に、へぇ、よく知ってるねぃと、珍しそうにマルコは尋ねた。

「うん。・・・すごい。本当にいたんだ。ありがとう、お兄さん」

「よせよぃ。もうお前みたいな子供からしたら、おじさんだろぃ」

照れたように笑うマルコは、さて、と手元の炎を止める。

「脱いで」
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