第42章 招き猫とハリネズミ
おたくら、もう『灯月橋』には行ったかね?」
「ん、いや、実はまだなんだ。これから行こうと思ってな」
「おお、この島は初めてじゃなかったんだね、さっきの時間帯に行くと、観光客がいっぱいであまり楽しめないからねぇ」
「あぁ、でもこいつは初めてだからよ、せっかくならゆっくり見せてやりてぇんだ」
「そうかそうか、楽しんで行ってくれ」
ぱっぱと目の前で支払いが済まされて行くそれを見ながら、エースって少し天然なんだな、とユキは今更ながらに気づいた。
天然というより、たらしの部分が入っている。しかも素でやるものだから、ユキはドギマギとする心臓を鳴り止ますのに精一杯だった。