第42章 招き猫とハリネズミ
「・・・お、ここならあるかな」
エースが入っていったのは小さな、しかし色々と小物が揃っている店だった。女の子でないと入るのを憚られるであろうそのファンシーな店に、なんのためらいもなく入って行くエース。
「何か買うの?」
「あー、まぁ、お前用の貯金箱をな」
「!・・・そんなの、エースが使ってくれていいのに」
「何かあった時金はなくても困らねぇんだし、いいだろ?」
おっこれとかどうだ?と見せてくる貯金箱は、こんなもの置いていいのかと思うくらいこの可愛らしい店には不釣り合いの、髑髏をモチーフにした貯金箱。
いかにもエースらしくて、ユキは思わず笑ってしまった。
「・・!なんだよ、変か?」
「アハハッ・・ううん、エースらしくていいと思うよ」
ふわりと微笑みを浮かべるユキに、エースは帽子を目深に被る。
「・・っ俺らしいのはダメだろ!お前のなんだからよ!」
「えー、でも、エースの部屋に置くんだよね?・・・・だったら、これとかはどう?」
そう言っユキキが指さしたのは、肉をモチーフにした貯金箱。
「・・・お前な、俺がいつも肉のこと考えてると思ってねぇか?」
弟じゃあるめぇし・・・ジトっという目線を向けられ、またユキは笑った。
「アハッ・・・んー、じゃあ、これ!」
「・・!それはダメだ、怒られる!」
「そう?かわいいと思うんだけどなぁ」
そう言ってある果物をモチーフにした貯金箱を眺めるユキは、少し残念そうだ。
「俺の部屋に置いたら、あいつが来た時バレちまう!そんなおもしれぇの置いてたら俺が殴られる!」
ぶんぶんと頭を振るエースに、アハハハッとまた楽しそうに笑うユキ。
「そっかー。マルコさんにそっくりなのに、残念」
「・・・お前、まじやめとけ。マルコの前で言ったら殺されるぞ」
きっと言ったことがあるのだろう、そのなんとも言えない表情で忠告をするエースの顔を見て、やっぱり私これがいいなぁと言い出すユキ。
途端に焦りだすのだから、からかいがいのある一面を見つけ、ユキはおかしそうに笑い出す。
それに、流石のエースも自身が揶揄われているのがわかり、おいっと怒り出す。