第40章 華麗な蹴り
「ユキ」
「ん?」
「服、似合ってる、すげーかわいい」
「っ」
ニカッと笑いそう言ってくるエースに、ユキはその顔を真っ赤に染め上げる。それを見るエースは満足そうに財布をしまう。
「っあ!お金、ありがとう」
「あぁ、気にすんな、俺がしたくてやってんだ」
笑みを浮かべながら言うエースに、ユキは今度お礼するね、と返す。
エースとしては、ユキのものを自分が支払うことになんの不満もないし、それが当然だと思っているからお礼などいらないのだが・・・目の前にいるユキを見下ろす。
普段一枚の布切れのようなものを着ていた時とは別人のようで、服と靴だけでここまで変わるのか、と驚いた。
お礼がしたいと言うなら・・・逡巡した後に、エースはじゃあと提案した。
「これから付き合えよ!この街、夜も活気付いてて、楽しいんだ!」
「え?・・・それはいいけど、そんなのお礼になる?」
「十分だ、ユキと初めての島だぞ?一緒に回りたかったんだ。それに・・・・ちょーど可愛い格好もしてるんだし、男にとっては嬉しいもんだ!」
「っもう・・・・でも、私もエースと島を回ってみたかった!」
可愛い、という言葉に少し照れながらも言うユキに、じゃあ行くかっとその手を取り夜の街へと向かうエース。手を繋がれたことに少し固まるが、エースの笑顔に絆され、何も言うことなく着いていくユキ。
そんな2人の後ろ姿を覗く1つの影は、ゆっくりと白ひげの船のある場所へ消えていく。